巻頭言 Feed

2020年7月 6日 (月)

3年生 7月号「僕が教師になった理由」

数十年前の11月、大学時代の友人から電話がなった。

「いきなりで驚くかもしれないけど、A君が昨夜亡くなった。」

私は言葉が出なかった。虚をつかれて頭が真っ白になった。A君とは、私の大学時代の親友である。二人で仲良く勉強したし、よく飲みにも行った。そのA君が23歳という若さで、しかも突然この世を去ったのである。

電話の中で沈黙が続いた。しばらくして、やっと私の口から言葉が出た。「どうして?」たった4文字の言葉だけど、なんとかしてしぼり出した言葉だった。友人の話によれば、もともと先天性の病気をかかえており、20歳のときにその病気が発病した。そして、3年後の23歳で亡くなったということだった。

 

電話を切っても、しばらくは何も考えられなかった。

ただ、昔のことだけが思い返されてきた。

 

A君はよく自分の夢を語ってくれた。

「俺は大学を卒業したら、絶対に先生になるんだ。そして、生徒から慕われる金八先生みたいになりたいんだ。」

 

今になって考えてみると、そう言ったA君はすでに自分の病気のことを知っていた。

いつ自分がこの世から、いなくなるかも、おそらく知っていた。

自分が生きられる時間は限られているのに、自分の夢に向かって、まだ見ぬ生徒のことを思って、教師になることに命をかけたのである。

自分が3年後にこの世からいなくなるとわかっていながら、病気の治療もせず、自分の夢を追いかけられる人は、いったいどれだけいるだろうか。

しかも、まだ20代という若さで。

 

親友だったA君と共に教員採用試験を受験し、A君は群馬県、私は福井県に採用された。合格に喜びながら、3月に私たちは大学の卒業式をむかえた。そして、お互いに先生としてがんばっていた11月に、その電話があったのである。

もう、数十年がたつ。

A君という親友をもてたことを私は今でも誇りに思っている。彼のような情熱を持ち、彼の生き方に近づきたい。私は、A君にはまだまだ追いつけないが、いつの日かA君に顔向けできるような教師になりたいと思う。

夢に向かって全力疾走したA君を追いかけて。

2020年7月 1日 (水)

2年生 7月号 「どんな2年生になりたい?」

   学校が再開し一月が過ぎました。この一か月はどんな一か月だったでしょうか? 学校再開直後では少し緊張した様子の皆さんでしたが、この一か月で学級の雰囲気が、できつつあるように思います。そして、手洗い、消毒、マスク等々、6月から始まった新しい生活様式に戸惑うこともあったかと思いますが、皆さんそれなりに慣れてきたようです。部活動が再開し、授業も本格化しています。毎日の授業や宿題でてんてこ舞いの人もいるかもしれませんが、まずはこの一か月を無事に元気に乗り切れたことを自分で褒めてください。「僕は、私はがんばっているね。」と声に出して言ってみてください。そして思い出してください、一か月前の「こんな2年生になりたい!」で自分が書いたことを。そこで、もう一度自分のこの一か月を見直してみましょう。目標に向かってスタートできているでしょうか? 

   部活動では、とうとう1年生が入部してきました。学校再開当初は、先輩としての自覚もなかなか実感しにくかったと思いますが、1年生入部により、先輩としてふるまう場面が多くなってきましたね。後輩からの視線は去年自分たちが先輩を見ていたのと同じものです。そのときどんな気持ちで先輩を見ていたでしょうか?先輩はどんな風に見えていましたか?そして、自分はどんな先輩になりたいですか?今年度は臨時休校期間もあったため、部活動での3年生と過ごす時間はかなり少なくなってしまいました。それなのに、3年生はもうすぐ引退してしまいます。3年生を見て、来年度の自分を見据えていきましょう。3年生からたくさんのものを引き継いでいきましょう。そして、そのよいところを取り入れながら、1年生の手本になるという2年生の役割を果たしていってほしいと思います。 

   2年生の学年目標「3力」が決まり、各学級では学級目標が決まりました。自分の目標、学級の目標、学年の目標をそれぞれ達成していくために、何をしなければならないか、どんな力をつけたいか、そのためにどんなことをしていくとよいのか、みんなで一緒に考えて達成していきましょう。2年生は、3年生の時に伸びるための力を蓄える時期です。その場の結果にはなかなかつながらないこともあるかもしれませんが、ぐっとこらえて、将来的な伸びにつなげていきましょう。

さあ、本格始動です。皆さんは、どんな2年生になりたいですか?

2020年6月30日 (火)

1年生 7月号 「離れていても」

学校が始まって1か月、ようやく部活もスタートし「中学校生活ってこんな感じ?」が掴めてきた頃だと思います。勉強、部活、委員会活動と本当にやることは盛りだくさんです。

「こんなにたくさんのことができるかなあ・・・」

と不安に思うこともあるでしょう。でも、中学生のパワーは本当にすごいもので、苦労はしつつも、乗り越えてしまうのです。まずは、楽しんでいきましょうね。 

とはいえ、まだまだ新型コロナウイルスの影響は続いています。第一波は収束したといえますが、移動自粛や、休業要請が解除された今、再度気を引き締めていかなければいけないと感じています。 

私は美術が好きなので、こんな時だからこそのアートの力に注目しています。

ブログで触れたアマビエもその一つですが、現代のアーティストも、様々な作品を発表しています。

まずはバンクシー。素性不明の芸術家として有名です。

彼は、医療従事者への感謝の気持ちを絵で表現しました。

(↓クリックすると表れます。)

bannkusi.jtdをダウンロード

 幼い子どもは、アメリカで正義のヒーローとして描かれる

バットマンやスパイダーマンの人形を選ばず、

看護師の人形を「新たなヒーロー」として掲げています。

そして、岐阜新聞に掲載された広告。

(↓クリックすると表れます。)

kokorohahitotui.jtdをダウンロード

これは新聞社入社2年目の社員さんがデザインしました。

この写真では、すぐに読み取れてしまうかもしれませんが

実際の新聞は大きいので、近くで見ると水玉の幾何学模様にしか見えません。

しかし、2メートル離れることでメッセージが見えるように仕掛けられています。

押しつけずに、ソーシャルディスタンスを伝える、

なんとも日本らしい優しい広告ですね。

 

今だからこそ改めて感じる、人の優しさや感謝の気持ち。

友達とたくさん話ができなかったり、授業でも班で意見交換ができなかったりと歯がゆい場面もたくさんありますが、離れていても、伝わる気持ちはちゃんとあります。

2020年6月10日 (水)

3年6月号巻頭言 「グッドマークな1年を目指して」

 みなさんはこの休業期間中に変化があったこと、新しく挑戦してみたことなどはありますか?私はたくさんありますが、1番の変化はYouTubeを観るようになったことです。今まではおすすめYouTubeを紹介してもらっても、忘れっぽい性格が災いし、ほとんど観たことがありませんでした。(ごめんなさい)しかし、休業期間中に授業の動画配信が始まってからは、YouTubeに触れる機会が増え、その魅力をとうとう知ってしまいました。これはおもしろい。みんなが夢中になるわけだ・・・。いろんなユーチューバーの方がいて、いろんな企画があって本当におもしろい!くだらないことをおもしろおかしくやってみる動画から、とてもためになる動画まで、まさにYouTubeはアイディアの宝庫でした。自粛期間中だったこともあり、制限された中でも楽しく過ごそうと、工夫された動画が多かったように思います。とても見習うべき点がたくさんありました。

 学校は再開されましたが、これからも、1番大切な命を守るために、あらゆる場面で我慢を強いられることになると思います。そんな時は現実を前向きに受け止めて、みなさんの大好きなユーチューバーのように、制限された中でも工夫して楽しむ心と笑いを忘れずに過ごしていきましょう。そして、それをみんなで共有し、みんなで考え、みんなで実行していきましょう。そうすれば、とても楽しい学校生活を送ることができるのではないかと希望を持っています。

 みなさんの頭の中はアイディアの宝庫です。どんどんアイディアを発信して、みんなの力で、思い出に残る素敵な1年にしていきましょう。数年後ふり返ってみて、「中学3年生チャンネル」にグッドマークを押したくなるような、チャンネル登録したくなるような、そんな1年になるといいね!

 最後に。YouTubeの魅力を熱く語ってきましたが、一方で、みなさんの視力低下や生活習慣の乱れなども心配しています。健康第一!くれぐれもYouTube、ゲーム、SNSのやり過ぎには注意してくださいね。

学年集会の時に話題に出した学年五訓を載せておきます。みんなで決めた五訓です。81人全員がこの五訓を意識した学校生活を送ってくれることを願っています。

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2020年6月 8日 (月)

2年生6月号巻頭言「学校再開 今大切なこと」

生徒の皆さんにとってもそうですが、保護者の方にとっても待ちに待った学校が再開されました。私たち教職員も、本当に長い長い休業期間だったと感じています。再開されたことを心から喜び、当たり前の日々を大切にして過ごしていきましょう。

ところで、3か月の休業期間中に、日常が大きく変わってしまいました。学校に行って友達と一緒に学習し、「ああでもない」「こうでもない」と議論を交わすこと。好きなスポーツを通して仲間と競い合い、高め合いながら切磋琢磨すること。楽器を演奏したり、大きな声で大好きな歌を歌ったりすること。晩ご飯は美味しいものを食べに行こうと外食すること。家族と旅行に出かけること。大好きな祖父母の家に行ってお泊まりすること。先輩の卒業や後輩の入学の門出を祝うこと。学習塾や習い事でストレス解消することなど・・・。例えを挙げようものなら、数えきれません。中には、大切な家族の最期に立ち会うことすら許されなかった人も・・・。

これまでの当たり前が一瞬のうちに当たり前でなくなってしまうという今回の経験は、これからの社会を生きるうえでの貴重な学びになりました。では、学校が再開された今、大切にしなければいけないことは何でしょうか。

密集・密接・密閉の“3密”を避けること。石けんを使って、十分な時間をかけて手洗いをすること。十分な睡眠とバランスのよい食事に心がけること。マスクを着用し、咳エチケットを守ること。ソーシャルディスタンスを意識し、行動すること。感染者や濃厚接触者、医療従事者に対する偏見や差別をしないこと。コロナウイルスに関して、根拠のないデマを流さないことなど・・・。これまた例えを挙げようものなら、数えきれないほどあります。

 しかし、今私が考える本当に大切にしなければいけないことは、「一人一人の意識改革」です。大切な家族を守るために、また、大切な仲間と過ごす時間を守るために、自分を伸ばし成長させるチャンスを守るために、「当たり前」に感謝する気持ちを忘れず、皆さんが考え、行動していくことです。そのとき、その場所で何が大切なのかを判断していくことだと思います。

 皆さんなら、こんなときどうしますか。 

1.休み時間に、友だちがトイレに行こうと誘ってきた。

2.給食の配膳中、クラスメイトがスープをこぼしてしまった。

3.下校するとき、友だちが教室に忘れ物をしたと言って、取りに戻った。

そのとき、その場所で何が大切かを「じっくり考えて」行動しようとするあなたの姿には、きっと間違いはありません。こんな今だからこそ、大切にするべきことが何なのかを考え、学校再開後の新しい生活様式を習慣化していきましょう。

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福井市清水中学校

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